越境するコンピューター

越境するコンピューター

新しいコンピューターとの付き合い方 〜コンピューターと意思決定と人間〜

越境するITというタイトルについて

 このブログのタイトルは「越境するIT」です。このタイトルにしたのは、ITの適用範囲がここ数年でどんどん拡大してこれまでカバーしていなかった場所に "越境して" 進出している印象を持ったからです。越境後の世界で必要となる新しいITリテラシーをこれから記す3つのエリアで語ってみたい、という思いを込めて「越境するIT」を選びました。

 "越境の様子" を3つのエリアで表したのがこちらの図です。

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それぞれ簡単に説明すると

データ ~構造化データから非構造化データへ~

これまでコンピューターは主に「構造化データ」を扱ってきました。ざっくりいうと "Excelのシートでまとめることができる、きちんと形式の決まったデータ" です。

しかし世の中見渡してみると「構造化データ」は全体の20%にすぎません。残りの80%は「非構造化データ」といわれるもの。ざっくりいうと つぶやき,メール内容、 画像、声など形式の決まっていないデータです。これを活用しない手はない、ということで非構造化データをコンピューターが処理できる形式にして活用しようというのが最近の流行です。

 

処理方法  ~演繹から帰納へ~

コンピューターはこれまで「論理的にやり方を説明できる」ものを実行することが得意でした。足し算、掛け算、会計の決算処理、その他色々。これらはそのやり方をプログラムとして作成し、それをコンピューターに実行させればOKです。この場合同じ入力に対して必ず同じ答えを出します。これを演繹的とか確定的とかいいます。

一方世の中を見渡すと私たちがやってる行動には「論理的にやり方を説明できない」けど無難にこなしているものが多くあります。人の顔を見て喜怒哀楽を判断したりするのも"判別の仕方を教えて"といわれても難しいですよね、もっと身近な例でいうと椅子っていろんな形のものがあるのにぱっと見て「あ、これは椅子だ」って判別できるのも"椅子を判別する論理的なロジックを教えて"といわれると言葉につまるのではないでしょうか?人間は「人の喜怒哀楽」、「これは椅子?」を過去の経験から学習して判断していると思われています。同じことをコンピューターにやらせようというのが『機械学習』といわれる分野です。機械学習では判断のロジックを埋め込むのではなく、判断の精度をあげる学習方法をロジックとして組み込んでいます。この方法だと常に正しい一定の答えを得るわけでは無く、人間と同じく間違えることもあります。経験から一般法則を導き出しておおよそ正しい結果を高い確率で出すことができるので帰納的といわれています。

目的 ~生産性から創造性へ~

コンピューターはこれまで主に生産性を上げるために使われてきました。

家計簿つけるのにそろばんと家計簿用のノートでやってると計算に時間かかるし間違いもする、検算してノートに書いて、でもやっぱり間違ってた!となると取消線でノート修正したり。これエクセルでやると段違いに効率が良くなり生産性が上がります。企業の決算にコンピューター使うのも基本的には同じ理由。

やるべき事のスピードを上げて生産性を高める、これまでコンピューターはこの分野で大きな活躍をしてきました。
 
コンピューターの活用範囲を生産性向上だけでなく、意思決定のような創造性を高めるために使えないかとという発想が出てきました。従来の構造化データを使って現状を把握して意思決定の助けにするのBIとよばれている分野はもともとありました。そこから進んでTwitterなど非構造化データを分析対象にすることでさらに活用範囲がひろがるのではないか、機械学習の活用で「明確にロジックを記述することのできない」ような意思決定を助けることができるのではないか?という期待が高まっています。
ただし最終的に意思決定を行うのは人間です。人間は判断するときに過去の経験(主観的直感的判断)とデータ(客観的論理的判断)を合わせて使います。まわりの環境が変わらない状況では「過去の経験」がすばやい意思決定を助けます。しかしまわりの環境が変化した時「過去の経験」が判断の邪魔をする場合があります。まわりの状況を見て主観と客観を冷静に使い分けることが大事です。
 
これからこのブログで3つの分野の詳細を綴っていきたいと思います。よろしくお願いします。
 

 

 

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