越境するコンピューター

越境するコンピューター

新しいコンピューターとの付き合い方 〜コンピューターと意思決定と人間〜

人口知能を語る前に 脳について知っておこう

最近「人工知能」という言葉がちょっとしたブームで、いろんなところでこの言葉を聞きます。
役立つ情報も多いのですが、中には間違った理解に立って無意味に危機感を煽るだけに思えるものも見受けられます。
こんな状況の中、人工知能について偏らない客観的な視座を得るためには "人口知能を構成する要素" である「コンピューター」と"人口知能がめざす先"である「脳」について正しく把握しておくことが肝心だと思います。

ということで、今回は「脳」について

脳の配線はまだ分かっていない
脳はニューロンシナプスで構成されています。この仕組みを模したのがニューラルネットワーク、ディープラーニングはその代表的なものです。
しかしこれだけでは脳をシミュレーションすることは出来ません。脳には1000億個のニューロンと160兆に及ぶであろうシナプスから構成されています。現在までの研究の脳の機能を生んでいるのは個別要素ではなくニューロンシナプスで構成されたネットワークであるとされています。脳のネットワーク地図はコネクトームと呼ばれており、まだこれは作成されていません。
コネクトームが作成され、脳の仕組みがわからない限り、脳のシミュレーションの可能性を検討することは難しいと思います。
現在は脳の構成要素を模しているだけで、例えるなら「ピカソが使っているのと同じ絵の具を使っている」のと「ピカソのような絵を描く」くらいの差がある状態です。たとえいまいちですが。。。

現在成功しているディープラーニングの技術自体は、脳の機能と似たものを使って役立つものを作るいわゆる「弱いAI的アプローチ」で、こちらは多くの実績をあげています。
ただコンピューターで脳と同等のものを作る「強いAI的アプローチ」は上に述べた理由でまだまだ実現までには壁があります。しかももしコネクトルームが解明されたとしても、脳の最大の謎「意識」の仕組みを解明するにはさらに時間がかかるでしょう。

[参考書籍]
http://ecx.images-amazon.com/images/I/51Y97PRZx3L._SL75_.jpg
とっても面白いです、是非読んでみてください。

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